<揺らぐ「食」の秩序>
ロシアのウクライナ侵攻により「食」を武器とする世界のフードショックが始まりました。世界一の小麦を算出するロシアは、食糧資源の乏しい中東や、一大消費国の中国への輸出を武器に世界侵略を始めました……そればかりか、ウクライナ侵攻後、食糧の輸出規制を行った国は昨年10月末で26か国~世界は「食」に置いても自国ファーストに舵を切ったのです。今後15億人以上がこの影響から飢餓に陥ると試算されています…もはや自由貿易は成り立たない現状で、グローバルなルールは通用しない時代に突入しました。
<時代は「エコノミー・オブ・ライフ」へ>
エコノミー・オブ・ライフとは、フランスの経済学者ジャック・アタリの言葉で「命の経済」を表し、これからの企業の主流になる事を訴えました…今後重要になる産業分野として、健康・予防・衛生・廃棄再生・水の供給・排水処理・食糧・環境保護・物流・貿易・教育・研究・新事業創出~などこれらは「命を守るための産業」と言われ、これらの分野は、今まで「あまり成長に寄与しない事業分野」とみなされてきました。
コロナとウクライナ戦争の影響で世界は「サバイバルモード」下ですが…やがて「economy・of・life」にシフトせざるを得ないのです…フェーズは変わりました。
<日本の食の安全保障は……>
戦後の日本の食を支えた「JA全農=全農グレイン」は40年~世界のあらゆる食糧の輸入を担い、戦後日本の経済成長と共に、発展しました…その結果日本の食の60%は輸入品で賄われ、デフレ経済の波に乗り、世界の食資源を買い漁りました…しかし2022年のウクライナ侵攻により世界の穀物の奪い合いに置いて、もはや経済大国では無くなった日本は、競り負け、お隣の食糧大消費国の中国と手を組まざるを得ない実情で、今後ハードル
(輸入基準の安全性を下げる)を下げざるを得ません…食肉を主る養鶏~畜産に置いても既に餌となる飼料は高騰し、コストはその6割をしめます…又慣行農法に置いての肥料原料(窒素・リン酸・カリ)の最大の輸出国ロシア・中国は輸出を禁止し、世界の肥料生産量も4割減少しました。結果として、2023日本の米農家の93%が赤字になると言われ、国家における「食」の位置付けが変わりました。生きる土台としての「農業」を「健康・文化の礎」として捉え直す事を、社会全体が求められています…まさに「農業という仕事が魅力的」であるという事実を作り出す時が来ました。日本が1番金持ちで、何でも出来る時代の「農地六法」を変えなければ、過去4,000年人類が繰り返した食糧不足が戦争を生む歴史は繰り返され…前代未聞の世界規模の「食べ物の奪い合い」が待っています。